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「おつかれさま」にひそむもの [ひびのよしなし]

この前「おつかれさま」という言葉についてTwitterでつぶやいたのだけど、
やはり少々物議をかもしたもので、ここであらためて整理しておく。

まず、「おつかれさま」と言う言葉は「同じ立場にある人」同士のねぎらいの言葉である、
というのが重要ポイント。
同じ会社の人、同じプロジェクトで働く人、同じ舞台に立つ人。
そういう間で交わされるねぎらいの言葉、なんじゃないかな。
ぼくで言えば、一緒に演奏をするバンドのメンバー、同じお店で働いてるホールスタッフ。
バックヤードでとなりのお店の店員さんに会えば、「お互い、今日もお店がんばってますね。」
という感覚で同じ立ち位置から「おつかれさまです」って交わしたりもする。
たとえば、ふらっと飲みにでも行って、となりに居合わせた人とグラスを合わせるなんて言う時は、
暗黙のうちに「おたがい労働者として今日も1日がんばりましたね」という、
ごく一般的な社会におけるお互いの立ち位置をフラットにしたところで
「おつかれさま」って言ったりもするよね。

これが、明らかな立場の差が出る場所では「おつかれさま」は「ごくろうさま」の意味合いに変化するんだよ。
言う側と受ける側の立ち位置の関係で、大きくそれは変わってくるのだ、と。

たとえば、客としてお店に入った時に、店員さんに「おつかれさま」とは言わないでしょ。
そこで「おつかれさま」って言ったら、
そこには「私に対するサービスを提供してくれるあなたの労働をねぎらいます」
みたいな感覚が生まれるからね。
お店の人は「おつかれさま」って言うかもしれない。
例えばビールでも差し出しながら客に「お疲れさま」と言ったなら、
それは「今日のあなたの外での労働をねぎらいます。ここでゆっくりなさってください」
と言った意味合いになるわけで、それはそれでありだと思うんだけど。
(別の言い方の方がいいと思うけどね)。

違う例で言えば、病院に行った時に、診てくれたお医者さんに対して
「おつかれさま」とは言わないでしょ。あきらかな立ち位置の差があるからね。
想像するだけで、それはおかしいと思うよね。
何かを習ってたとして、自分の先生に向かって「おつかれさま」も言わないでしょ。
おこがましいもん。
先生の方はきっと言うよ、講義の最後に「おつかれさまでした」って。
その間の時間、がんばりましたね、っていう意味で。

「おつかれさま」って言葉には、そうした意味合いの変化が存在する、
ってことをわかってなくてはいけない、とぼくは思うんだよね。
わりと使い勝手のいい言葉だから、無意識に会話の枕詞として使いがちだけど。
そこに立場の差が存在する時には、極力避けるべき言葉である、と。

お店で演奏を終えた後に、お客さんからたまに言われることがあるんだよね。
「おつかれさま」って。すごく笑顔で。
そのとき、やっぱりモヤッとするんだよね。
その人に他意や悪気はないんだろうけど、客から演者に「おつかれさま」という時には
「私のことを楽しませてくれるあなたの時間と技術の提供をねぎらいます」
というニュアンスは生じてしまうんだよ。

もう1つね。
実は客と演者の間での「おつかれさま」には別の意味が加わることがあって。
「おつかれさま」は同じ立場にいる人たちの間で使われる言葉、と言ったでしょ。
客側から演者に「おつかれさま」と言う時にね、
その「同じ立場」にありたいという願望のようなものが生じてることがあるんだよ。
「客」と「演者」というその線を飛び越えたい、
という思惑がこの「おつかれさま」には多分に含まれてくる、というね。
「ファン」としての思いが強くなるほどこの傾向は強くなる。
だから演者側は、今度はそこに「困惑」を覚えることがある。

特にぼくは、「演者」と「客」の間には、たとえ仲良くなろうとも
確実に線を引いておかなくてはならない、と思ってる。
(昨今使われる「一線を超える」の「線」とは別だよ!)
「演者」にはその意識が必要だし、「客」もむやみに踏み込んではならない、
という意識を持ってなくては興行は成り立たなくなる。

それだけに、「客」側から「おつかれさま」と言われることに、ぼくは非常に違和感を感じる。
さすがにその場で顔には出さないけど。

なんか、小難しいこと言ってるなぁこいつ、と思われてもかまわない。
ただ、言葉の持つ意味合いって、思ってるより重要なことなんだよ、ということ。
使い方を間違えると命取りにもなるんだよ、ということ。
その辺、日々気をつけないといけないな、とあらためて自覚しようと思う次第。

ちなみに、ある時期からぼく「了解です」も使わないようにしてます。
なんでか、くわしく知りたい人は適当にググってください。
どこかに答えが出てますから。
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コメント 1

ぴろりん

なんかお久しぶりです。
興味深く見ていました。
主張は良く理解出来ます。
俺もそうだと思います。
でも、使っている側、使われている側、
お互いわかっていない人が増えてくると
言葉の変質が起きてくるんだろうと。
言葉の意味が変わる、
真っ只中にいるのかなと。
甚だしく脱線ですが、
そんな事を思いながら見てました。

了解です。のエントリも興味深かったです。

by ぴろりん (2017-08-29 00:16) 

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