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トムキンスさん [本]

暗渠仲間でもあるHONDAさんからの情報で、今出てる「季刊 真夜中」という雑誌に高野文子の新作が掲載されてる、ということでね。
それは読みたいぞ、と渋谷に出た時に本屋さんへ。
「マイナーな雑誌なので、大きめのところへ行くのがいいですよ」ということだったので、何軒かめぐる覚悟で最初にTSUTAYAへ。と、あっけなくがっちり平積み。よかった。

さて、その新作「トムキンスさん、ケーキをありがとう。」
話もタッチも高野文子の世界でありながら、今までにはなかった手触り。
前に、著作『黄色い本』に関して「顔に意識がいくのが嫌で、わざときちんと書かないようにした」と言っていた顔の書き方が、今回はまた違った書き方に。でも、この話にはこのくらいの顔が合ってる気がする。
久しぶりの新作、ということなんだけど、やっぱりこの人の作る世界は好きだなあ。
今回は「ふしぎマンガ」とわざわざ銘打っての10ページの作品で、ジョージ・ガモフ著「トムキンスの冒険」という本を読んで書いた、と但し書き付き。
「一般的相対論を基礎とした、宇宙における物質進化の理論」を説いたという「ビッグバン宇宙論」を提唱したと言うガモフさん。正直、なんだかよくわからない世界ではあるけど、今回の高野文子の作品を読んだら、この「トムキンスの冒険」と言う本を読んでみたくなったよ。

そういえば、高野文子の「おともだち」っていまだに読んでないな。わざわざ古本屋探して「ユリイカ」の高野文子特集まで手に入れたと言うのに。読まなきゃ。

「白蘭」 [本]

久しぶりに、後に引きずる小説に会ってしまった。
連城三紀彦の短編集「たそがれ色の微笑」に収録されている短編「白蘭」と言う話。

とある若い漫才コンビの短い活動期を、小屋主の回想による関西言葉での独り語りで綴られてる話なんだけどね。これが、なんともえぐられる。
一度読んだ後に、改めて初めから読みたくなる。で、読み直すとさらにえぐられる。
話の結び方とタイトルの関係もあまりにきれい。
ぼくが個人的に、よいものの判断基準としてる「余韻」がここには響いてる。

あとがきによれば、この話は舞台化したらしい。というか、芝居用に書いたものをあらためて小説化した、という順番なのかな? 調べてみたところ、実際に演じた役者さんの名前が、そのままこの漫才コンビの名前とリンクしてるからね。
見てみたかったなあ。その舞台。ていうか、やってみたいと思っちゃった。

ま、あえて具体的な話の内容までは書かないけど、久しぶりにひきずる話に出会ってしまいましたよ。
読んだ日からしばらくこの2人がぼくの頭の中に居着いちゃってる。
図書館で借りて読んだんだけど、ブックオフででも探して手元に持っておこうかな。

愛読誌 [本]

最近、昔ほど雑誌を買わなくなってきてるのは、やっぱりネットからの情報量が相当入るようになった、てのがあるんだろうな。
と思ったところから、今まで定期的に買ってきた雑誌にどんなものがあったか振り返ってみた。

○「小学1年生〜6年生」
これは、実のところ本自体と言うよりも、ついてくる付録を作りたいがために買ってもらってた。工作的要素がたっぷりで「いかにも作りました的付録」の時がうれしかったね。高学年になって行くにしたがってそういう要素の強い付録がなくなってきて、それで卒業したんだろうな。

○「明星」
小学校6年くらいから買いはじめたのかな?正直これもアイドルの動向云々とかよりも、付録の歌本目当てだった。高校1年の頃に、学校行く前に買って行ったら、友だちから「高校生になって明星はどうかと思うよ・・・」と言われて、「ああ、確かにそれもそうだな」と思って思いとどまるようになった。

○「pia music complex」
これ、覚えてる人いるかな?中学か高校の頃にぴあから創刊された音楽誌。結構内容も濃くて好きだったんだよね。でも、あんまり売れなかったのかな。2-3年で休刊になっちゃった。多分創刊から休刊まで欠かさず買ってた。

○「PATI PATI」
当時の音楽好き少年少女は必ず通ってるでしょ。みんなも買ってたでしょ。教室で2冊くらい必ず出回ってたでしょ。
これも中学から高校卒業するくらいまで買ってたかな?EPIC全盛の頃。

○「ぴあ」
これはいつ頃からかな。少なくとも大学時代は必ず持ってたからな。「まさきに聞けばぴあ持ってるよ」って言われるくらいだったから。2001年くらいまでは毎週欠かさず買ってた。

○「CDでーた」
おおよそ、「明星」と交代で買うようになった感じ。音楽の情報源としてね。

○「WHAT'S IN?」
「CDでーた」よりインタビュー記事とか内容が充実してて好きだった。「CDでーた」が情報源だとしたら「WHAT'S IN?」は読み物的感覚で買ってたな。
この2冊を買わなくなったのはやっぱり2001年頃。音楽の情報を扱う会社に入ったことと、仕事の都合上ネットでとにかく音楽情報をかき集めるようになったことで、次第に買わなくなっちゃったな。

○「演劇ぶっく」
芝居はじめた頃から。ま、これは芝居に熱中してる(特に)役者としては毎回気になる本ね。大学卒業して、芝居づくめの生活じゃなくなった頃から、あんまり買わなくなったな。

○「シアターガイド」
これも芝居情報誌。ぼくが大学1年の頃はまだ180円の薄い本で、主要劇場の情報しか載ってなかったし、扱ってる店も少なくて探すのが大変だったのね。ほどなくして、直接定期購読にすると、小劇場の情報が載ってる『シアターガイドX』という小冊子が付録でつく、というので定期購読にした。1年ぐらいたってからその小劇場の情報も本誌の方に含まれるようになって大きく紙面改編、値段も上がって、その頃からわりとどこの本屋でも扱うようになったね。

こうして見ると、マンガ雑誌って買わなかったな。一時期スピリッツが面白い時期があってよく読んでたけど、それって大抵誰かが買ってきたのが回ってくるとか、部室に置いてあったとか、そんな感じで読んでたわけで、自分では買わなかったし。あとは、エレクトーンを習ってた2年くらいは「月刊エレクトーン」て買ってた時期もあったなあ。

そんなわけで、今現在欠かさず買ってる雑誌は「シアターガイド」のみというわけでございます。


高野文子「棒がいっぽん」 -日常とドラマ- [本]

ブログのカテゴリーに「本」なんて作っておきながら、この半年「本」についてなんて1つしか書いてないんだよね。なのでたまには本の話。といっても漫画。とはいえ。

すごく昔に、何の雑誌で読んだのか「東京コロボックル」っていう見開き2ページの漫画があって。あるときふとそれが気になって「どこかでまた読めないかな」と探ってみたところ、作者は高野文子、「棒がいっぽん」という単行本に収録されてる、ということがわかった。「高野文子って名前は何か聞いたことあるな」というくらいにしか知らず、当時の職場の近所の三省堂本店で買った。そして読んだ。以来、高野文子が非常に好きなのである。
この人の話の流れってのはかなり独特で、「高野文子の文法」ってのがあるんだよね。それに慣れないうちは読みにくいかもしれない。というか、読んでもわからない。何でこのコマの次にこのコマが来るのか、とか。え、そこで終わるんですか、とか。そういうところが、ぼくとしては岩松了の芝居を見た時と似た感覚がある。あの人の芝居も「岩松了の文法」で進んで行くからね。ぼくにはそれが非常に心地よい。

「棒がいっぽん」という単行本は、「日常が生む、日常としてのドラマ」っていうのかな(言葉がうまくないな)普段の日常なんだけど、切り取ってみるとその日常もドラマになるではないか、という、そんな感じの話がたくさん並んでるのね。入院してる女の子が、そこで目にしたものだけが次々と書かれるだけの話とか、バスで出かける時に眠気が襲ってきて微睡んでる、現実と夢が交錯しちゃってる感覚を書いた話とか。(って書くと「なんだそれ」って感じだけど、それだけなわけじゃないので)。
ちなみにぼくがいちばん好きな話は1編目の「美しき町」と言う話。ある新婚夫婦の毎日が何気なく書かれて。そのとある1日の事件がふとクローズアップされて、最後に早朝夜明け前に2人がベランダで外を見ながら「例えば30年たったあとで、今のこうしたことを思い出すのかしら」と言う。日常がふと時空を越えてしまうその一瞬がものすごく好きだ。
あとは、最後に収録されてる「奥村さんのお茄子」。突然現れた人に20年数年前の、とある日の昼ご飯を尋ねられる、というとんでもない話なんだけど、SF的でありながら最終的にはとことん「なんでもない日常」を追うという不思議な感動を覚えてしまう話。これは、読んでみないと説明のつきようのない感覚だな。
他にも、「棒がいっぽん」の後に出た、いまのところ最新作「黄色い本」の中の「黄色い本」とかも好き。ある女子高生が「チボー家の人々」という本(=黄色い本)を読む進めて行くうちに、日常と本の話を重ねて感化されて行くが、最後に卒業直前にその本を図書館に返し、本の世界からも離れる、という。これも、これだけじゃわからないよな。この話は読む度に新しい発見があって、「そうか、そことリンクするのか!」てな具合に見えれば見えるほど好きになる話。最初は全然わからなかったけどね。
いちばん最初の単行本「絶対安全剃刀」に収録されてる「ふとん」とか「田辺のつる」も好きな話。特に「田辺のつる」にはぶっとんだね。天地ひっくり返るくらいの衝撃。

とまあ、知ってる人にしかわからないようなことばかり書いちゃったけど、気になった人は読んでみて下さいませ。

思えば、いつもぼくが芝居書く時とすごく近い話なんだな。題材と言うか、書こうとしてるものとか。だからこんなに惹かれるわけだな。さてこの先ぼくはまた芝居が書けるのだろうか。芝居書くのは大変だからなあ。


アイユー [本]

以前、本屋でバイトをしてた。といっても、さほど本を読む訳ではない。
かといって、全然読まない訳でもない。
本屋にいただけあって、作家の名前は結構知ってる。代表作みたいなものも何となくわかる。
でも、実際に読んだことは無かったりする。「ノルウェーの森」も「深夜特急」も読んでない。
いわゆる「日本文学」は、予備校生の頃にほんの一時期「文学青年を目指してみよう」と思ったことがあって、その頃にそれなりに読んだ。
そんなぼくが「好きな作家」としていつも名前をあげるのが「草上仁」という人。
SFの短編作家。「SFマガジン」とかに頻繁に書き下ろしてるらしい。
最近は長編のシリーズものを書いてたりして、もちろんそれも面白いんだけど、やっぱりこの人は短編で「きゅっ」とした感じのものがぼくは好きだ。
非常に小気味よく話が進み、いちばん最後にしっかり落ちがつく、というパターン。
読んでてほんとに、最後に「う、やられた!」って笑ってうなっちゃうような気持ちの良い話が多い。たまに泣ける話もあるし、納得させられる話もあったり。でも、どの話もわりと空気感は一緒。それが好きなんだな。で、どんな話の中でも、通貨単位は「アイユー」という単位。
新刊でも、「アイユー」が出てくると、もうそれだけでうれしい。
で、ハヤカワ文庫からかなり本が出てるんだけど、おそらく現在はほぼ廃刊。古本屋に入る度に見つけて買いそろえてたんだけど、どうしても1冊だけ見つからないんだよね。
「プラスティックのしゃれこうべ」ってやつだけが。内容は図書館で借りて読んではいるんだけど、あと1冊でそろう、てこと考えると、やっぱり欲しいんだよね。コレクター気質なもんで。
もし、誰かどこかで売ってるの見たら「ここにあったよ報告」下さい。ぜひ!

ちなみに、ぼくが最初に書いた芝居はSFでした。この辺もヒントになってたのかもしれない。
というか、脚本書く時に伏線張ろうとするのは、ぼくに限っては草上仁と三谷幸喜の影響。